実はマグダラのマリアはプロヴァンスの守護聖人であり、深い縁があります。というのも、マグダラのマリアはキリストの死後、マルタやラザロといった他の弟子や女たちとともに、迫害を免れてプロヴァンスに流れ着いたというのです。その地は後にその名もズバリ、サント・マリー・ドゥラ・メール(Saintes Maries de la mer=海から来た聖マリアたち)と名付けられました。他の弟子とともにプロヴァンスの各地(マルセイユ、エクス、タラスコンなど)で布教活動を行った後、マグダラのマリアはサント・ボームの洞くつに隠って30数年間祈りの生活を送り、天に召されたと伝えられています。その遺骨は麓のサン・マキシマンの教会に納められていて、毎年お祭りが催されているほど、この伝説はいまでもプロヴァンスで生き生きと息づいているのです。
その伝説の真偽はともかく、この魅力にあふれた聖女の足跡を追ってみました。まずはエクスの隣町サン・マクシマンからスタート。エクスから車で15分くらいでした。小さな街にそぐわないほど大きなバシリカ教会堂(La basilique de Sainte Marie-Madeleine de Saint-Maximin-la-Sainte-Baume)がありました。マグダラのマリアの遺骨が祀られていたという伝承の地に、1295年にプロヴァンス伯ルネ・ダンジュー2世の命で建造がはじまり、200年の歳月をかけて完成したもので、プロヴァンスには珍しいゴシック様式です。往年は巡礼者で賑わっていたのでしょうが、いまは閑散とした印象を受けました。7月下旬のお祭りにはマグダラのマリアのお神輿を担ぐそうです。さて、その大聖堂で待っていたものは…!! [2005.7.6]