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6. プロヴァンスの工芸品
Les produits
artisanaux
一度行ったら、もう虜。
どうしても部屋をプロヴァンス一色にしたくなるもの。
プロヴァンスならではの色彩や香りをお持ち帰り!
▼もくじ
プロヴァンス生地|ラヴェンダーとラヴァンダン|ポプリとドライフラワー|石鹸|木製品|ガラス製品
|陶器|サントン人形|陶器製のセミ|参考リンク|オススメ図書
プロヴァンス生地(tissus
provencaux) |
太陽、セミ、オリーブ、ラヴェンダーといった、プロヴァンスならではの自然の意匠をあしらった、まぶしい原色遣いの、綿生地。
ショーウインドー、ホテルの客室、レストラン、家庭などのテーブルクロス、ナフキン、カーテン、シャツ、エプロン、手袋、袋、かばん、民族衣装など、ごく身近に使われ、この土地らしい華やかさを演出してくれます。
17世紀に東インド会社がもたらした木版プリントがルーツ。インドのペイズリー柄をプロヴァンス風にアレンジしたともトランプの柄がヒントになったともいわれる、小さな繰り返し模様のパターンはなんと4,000種を超えるそうです!ハワイといったらアロハ、プロヴァンスといったらこれなのです。現地の朝市やお土産屋さんで安価に入手できます。
有名な最高級老舗ブランド「ソレイアード Souleiado」の本社は、ローヌ河ほとりの城下町タラスコン(Tarascon)にあり、その博物館には創業以来の版型が保存されていて、なんと!好きな柄と生地の色を選べばカスタムメイドもしてくれるそうです。ショップはフランス国内だけでなく世界中の主要都市にあります。品のよいお店が多いので、プロヴァンス風の内装にしたい場合はとても参考になると思います。
日本にいる場合、オンラインショップも利用でき便利ですが、どうしても手にとって微妙な色遣い・柄や手触りを選んで買いたいもの。新宿・伊勢丹や小田急の家具売り場に「レゾリヴァード」
が入っています。
・ソレイアード Souleiado
・レゾリヴァード(オンラインショップ) Les
OLIVADES
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ラヴェンダーとラヴァンジン(lavande
et lavandin) |
「ハーブの女王」ラヴェンダーは高さ80センチ前後のシソ科の常緑性小低木の多年草(草ではない)。フランス語では「ラヴァンド」といいます。
BC7世紀ごろにギリシア人によってヨーロッパに持ち込んだとされ、古代ローマ人はこのラヴェンダーを入浴用の香水として用いたことから、その名前はラテン語の「lavare=洗う」に由来します。ちなみに日本には江戸時代の文化年間(1804〜18年)にもたらされたようです。北海道の「ファーム富田」の有名なラヴェンダー畑も、かつてプロヴァンスから持ってきた種だそうです。
薬効は古代からよく知られ、黒死病(ペスト)の蔓延した中世においては消毒薬として利用され、現代のアロマテラピーでは、殺菌、鎮静、血圧降下、抗ウイルス、抗うつ、通経作用があり、神経をリラックスさせ、不眠症の治療や筋肉痛の鎮痛に有効とされるなど、香りと清潔を象徴します。
毎年6〜7月になると、リュベロン地方(西はカヴァイヨン、東はマノスクまで広がる国立自然公園)の丘陵地帯は、見渡す限り紫の大地となり、スーとした涼しげな香りで満たされます。
ラヴェンダー栽培は100年ほど前にはじまり、かつては手摘みでしたが、現在では機械を使って収穫されます。花を何日か天日で干したのち、水蒸気蒸留法によってエッセンス(精油)を採取します。このとき120キロの花で1リットルのエッセンスとなります。なお、AOC(原産地統制呼称)には「オート・プロヴァンスのラヴェンダー・エッセンスオイル」が認定されています。
ところで、いわゆる香水や香料に使われるラヴェンダーには、標高600〜1600mの高地で栽培される高価な真性ラヴェンダー(lavande
fin)と、標高400〜600mの高原で栽培される安価なラヴァンジン(lavandin)の2種類があり、その使われ方も異なります。香りの質の高い前者は「青い金」とも呼ばれ、もっぱら高級香水や高級化粧品用のエッセンスとして利用されますが、香りの質の劣る後者は、ポプリやせっけんなどの家庭用品に使われます。
なお、ラヴァンジンは、真性ラヴェンダーとスパイク・ラヴェンダー(aspic)の交配種で、大きく丈夫で栽培に適し、7〜8月に花を咲かせます。香りの質は劣りますが、約3倍の量のエッセンスがとれるため、徐々に主産地のヴァランソール高原から栽培地域が真性ラヴェンダーの主産地リュベロン山地にも拡大しています
(99年におけるラヴァンジンの栽培面積1200ha・オイル生産量1000tに対し、ラヴェンダーは600ha・40t)。
和名
フランス語名
[学名] |
特徴・用途 |
トゥルー(真性)・ラヴェンダー
lavande fin
[Lavandula angusyifolia
/Lavandula officinalis] |
標高600〜1600mの乾燥した山岳傾斜地
茎に一つだけ花がつく(6〜7月)
120kgの花から1リットルの精油を抽出
高級香水、高級化粧品などに利用
香りが繊細で貴重なため、「青い金」とも呼ばれる |
スパイク・ラヴェンダー
lavande aspic
[Lavandula latifolia] |
標高0〜800mの石灰質乾燥地帯
茎が複数に分岐し、いくつかの小さな花がつく
香りが強すぎるためフランスでは使用されず、
スペインなどで油彩用オイルや陶器の上薬として利用 |
ラヴァンジン
lavandin
[Lavandula hybrida] |
標高400〜600m
2本の分岐茎に球状の大きな花がつく(7〜8月)
40kgの花から1リットルの精油を抽出
香りが強いが繊細さに欠けるため、洗剤、化成品、ポプリなどに利用
真性ラヴェンダーとスパイク・ラヴェンダーの人工交配種で、
「クローン・ラヴェンダー」とも呼ばれる。 |
リュベロン地方には「ラヴェンダー街道」(les
routes de la lavande)があり、ゴルド付近のラヴェンダー博物館(le
musee de la lavande)やセナンク修道院では、直にラヴェンダー畑に入ることができます(他の畑は私有地ですので、なかなか入りづらい)。畑に入ってみると、まずラヴェンダーの背の高さに驚きます。強い香りにひきつけられるのでしょう、人間だけに限らず、ミツバチやチョウなど色々な昆虫が群がっているのにも驚きました。また、カンヌの北20キロほどの街グラースは「香水の都」と呼ばれ、
老舗の香水メーカーが軒を並べ、工場見学ができます。中でもフラゴナールの運営する国際香水博物館では香水瓶などのコレクションが展示されています。
エクスのとある高級ホテルでは、絶えずラヴェンダーの香りがしてとてもリラックスした気分になります。ホテルの人に聞いてみたところ、「企業秘密だよ」とウィンクしながら、このエッセンスを混ぜてワックスがけすると教えてくれました。どうりで床や家具からラヴェンダーが香り立つわけです。さらに部屋のカーテンからベッドまで全てのリネンがプロヴァンス柄!地元ならではの贅沢で洒落た演出だと感激しました。
日本でも有名な自然派化粧品メーカーといえば「ロクシタン
L'OCCITANE」。 1976年に創業、マノスクに本店と工場があります。ラヴェンダー、ローズマリー、ヴァーベナ、プロヴァンスオリーブ、イモーテル、ローズ、ハチミツなど、プロヴァンスの自然がはぐくむ花や実やハーブを原料にしたアロマオイルやスキンケアが充実していて、プロヴァンスの香りを満喫できます。東京では、表参道の路面店や新宿・高島屋などで入手できます。また、アルルの「グラントテル・ノールピニュス」や東京の「フォーシーズンズホテル」などのアメニティーにも採用されています。
「プロヴァンスの生活」コーナー「花・植生」
「プロヴァンスの味覚」コーナー「アロマ・ハーブ」
写真館「セナンク修道院」
・ラヴェンダー街道 les
routes de la lavande
・ラヴェンダー博物館 le
musee de la lavande
・ロクシタン L'OCCITANE
en Provence 日本語
・フラゴナール Fragonard
・モリナール Molinard
・ガリマール Galimard
・わたしのラベンダー物語
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ポプリ(pots-pourris)とドライフラワー(fleurs
seches) |
いまや日本でも簡単に手に入るので、今さら説明の必要はないと思いますが、
「ポプリ」はフランス語だったんだーと綴りをみて納得。
「香水の都」グラースがあるわけで、ポプリもプロヴァンスが本場。
この土地の花、植物、果実を乾燥させたもので、香りよい部屋を演出します。色合い、香りなど様々な取り合わせは、もはや芸術品。
またたんすや家具の中において使う、ラヴェンダーだけを入れた小袋(sachets
de lavande)もあります。お手ごろでお土産の主力!
やはりどれも直産だけあって香りも色も濃厚。
日本の人工エッセンスをふりかけただけのものとは比べ物にならない。
この地方は空気が乾燥しているため、
自分が買ってきたバラなどの切り花も部屋にそのまま置いておくと、腐らずに自然とドライフラワーになっちゃうのがうらやましい限り。
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オリーブオイルが主成分のナチュラルソープは、中世(9世紀)以来の伝統工芸品の一つ。粗悪品を嫌ったルイ14世がマルセイユ以外での製造を禁じ、1688年に「マルセイユの石鹸」という名称と厳しい製造基準を定めました。
その品質の高さから王侯・貴族や上流階級の人々に愛用され、「王家の石鹸」とも呼ばれました。19世紀に家内制手工業による生産が最盛期を迎えましたが、今日では、マルセイユとサロン・ドゥ・プロヴァンスに工場が2軒づつあるのみとなりました。
マーブルは白に、ブルーはグリーンに色が変わりましたが、「植物性油分72%」の刻印どおり、厳しい基準の伝統製法を守り続けています。原料として、白にはピーナッツが使われ、グリーンにはココ、ヤシ、オリーブが使われており、フランスでは、医師が赤ちゃんや肌の弱い方に使用を薦めています。
・マルセイユの石鹸 Savon
de Marseille(Marseille)
・サロン・ド・プロヴァンスの石鹸 Savonnerie
Marius Fabre(Saon de Provence)
・サヴォニエール Savonnière:
プロヴァンスのオーガニック手作り石けん。石けん職人マダムマリアの作る良質な泡はバランスの良い「洗浄力」と「保湿力」を備え、高品質な植物由来成分の誠実なやさしさで肌を包みます。肌質によって6種類の泡を使い分けることができます。新宿・伊勢丹などで入手可。
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生命と豊穣の象徴、オリーブが利用されるのは実だけではありません。オリーブの木はとても丈夫なので、食器にしたり、自然の造型をいかした彫刻にしたりと、まさに木の王様!
ちなみに1956年の大冷害で枯死したオリーブの木が有効活用されているようです。プロヴァンス生地には木製の食器がよく似合う!
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ビン、カラフ、コップ、クルッシュなど、ビオ村(ニースとアンティーブの中間に位置)で作られるガラスは、フェニキア人が伝えたジャー(水やオイルを入れる大壷)から発展したもので、
1つ1つ丁寧に
ガラスを口で膨らませる伝統的手法で作ります。
気泡入りのガラスがいかにも素朴で、味がありますね!
・ビオのガラス工場 La
verrerie de Biot
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壷、サラダボールやオリーブオイル入れ、ワインカラフなど様々な用途でつかわれています。素朴で手触りが大変いい。
シンプルだけど色遣いがいかにもプロヴァンスな陶器。
焼く温度がそんなに高くないため、欠けやすいので持ち帰る時に注意!
赤土オークル産地のアプト、ピカソが晩年に過ごしたカンヌ近郊のヴァロリス(Vallauris)、プロヴァンス・ヴェルドン渓谷のムスティエ(Moustier-Ste-Marie)が
陶芸村として有名です。
南フランスでもっとも有名な昆虫といえば、ずばりセミ。フランスでは分布の北限にあたり、たしかにパリでは鳴き声を聞いたことがありません。
だからフランス人にとって、ツクツクホウシに似た小型のセミと「ジジジジ」というその鳴き声が、
南を彷佛させるものの一つなのでしょう。オランジュ近郊出身のファーブルの「昆虫記」にも登場しますし、映画「プロヴァンス物語」では、蝉時雨が聞けます。
プロヴァンスのお土産屋さんにいくとたいてい壁掛け用の陶器製のセミがおいてあります。
「セミのよく鳴く年は豊作になる」という思いが転じて、この地方の幸福のお守りになったとのこと。
緑や黄の単色のものもあれば結構リアルな彩色のものもあり、サイズも大中小とあります。街を歩いているとかなり目にするので、留学当時はあまりなんとも思いませんでしたが、今となっては一つくらい買っておいてもよかったかも、なんて思います。
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ハンドペインティングで彩色された手のひら大の粘土人形で、聖書上の人物をあらわし、クリスマスの飾りに使います。表情が厳しく、けっこうゴテゴテした手作り感なので、好き嫌いが別れそうです。
お土産用にプロヴァンスの衣装を着たユーモラスなサントンや、家や教会などの建物をかたどったものもあり、中にラヴェンダーやレモンのエッセンスを入れるとほのかな香りが部屋を包み込みます。何軒か買えば、プロヴァンスの町並みの出来上がり!
もともとは、フランス革命下の暴動による破壊や略奪によって教会が閉ざされたときに、キリスト生誕場面の模型(クレッシュ les
creches)の代わりとして庶民が作りはじめたもので、
その語源はプティ・サントン・プロヴァンス
(Petit Saint en
Provence=プロヴァンスの聖人象)にあるといいます。
サントン職人がマルセル・パニョルの作品で描かれて以来、彼の故郷であるオバーニュ(Aubagne)が生産の中心地として知られています。また、12月になるとサントン市(Foire
aux Santons)がマルセイユなど各地に立ち、クリスマスシーズンの風物詩的存在でしたが、現在ではお土産屋さんで年中購入することができます。プロヴァンスの人たちにとっては、毎年クリスマスに一体ずつ買って集めていくのが楽しみなんだそうです。
・サントン職人 Marcel
Carbonel : santons et creches
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わたしのラベンダー物語 |
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富田 忠雄 |
新潮文庫 |
北海道・富良野の「ファーム富田」の農場主による、ラヴェンダーの歴史や栽培方法、楽しみ方の解説。もちろん、ラヴェンダーの故郷プロヴァンスへ旅行していて、グラースの香料会社やオート・プロヴァンスのラヴェンダー栽培事情が紹介されている。ちなみに著者は同地のラヴェンダー修道騎士に任命されている |
ヨーロッパものしり紀行 くらしとグルメ編
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紅山 雪夫 |
新潮社 |
元旅行代理店のベテラン添乗員が、ヨーロッパのあれこれウンチクを案内する「読む観光本」。より踏み込んだ知識をもてば、他人任せのツアーより、断然ヨーロッパ旅行がイキイキしてくる。
シリーズ第二弾。
チーズやワインやレストランなどの食事から城塞や家やローマ遺跡の建築まで、ヨーロッパ旅行で出会う現地の生活文化を幅広く紹介。
プロヴァンス関連としては、ニームのローマ水道橋の建築の秘密、カマルグに住むジプシー(ロマ人)の知られざる生活、香水の都グラースの花精油の製造法などがわかりやすい文章で説明されている。 |
プロヴァンス 碧い海と碧い空と… |
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田辺 保 |
恒星出版 |
大阪市立大学名誉教授の著者が、前半部分では「ローマ時代」「キリスト教伝来」「中世」といった歴史や、後半部分では「ペトラルカ」「ミストラル」「ドーデ」「パニョル」「ジオノ」といった文学者などを通して、プロヴァンスの魅力を丁寧に紹介。サントン人形についても。
プロヴァンスの入門書として最適。旅行ガイドの次に買うならこれ。リピーターや留学生は必携。
ちなみに、イラストを担当した娘さんの作品は、Keiko
Tanabe Web Siteに続々発表されている。 |
南仏プロヴァンスのインテリア―メゾン・ドットを訪ねて |
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景山正夫(写真)、後藤絢子(取材) |
トーソー出版 |
ハイセンスなインテリアが自慢のプロヴァンス(アヴィニョン・リュベロン)民宿を9軒、本邦初公開。明るい陽射しがインテリアや風景に陰影を刻む様が美しい写真集。メゾンドットとは、日本語訳すると民宿なんだけど、ちょっとニュアンスが違う。瀟洒な個人宅にお邪魔する感覚。いわゆるプロヴァンス全開のインテリアではないが、古民家を買い取り、インテリアや庭を自分たちで手がけたオーナーたちの思いがこめられていて、ライフスタイルそのものを見るよう。古い物や手作りのものを取り入れる感覚や色遣いのセンスは、なかなか真似できないが、見ているだけでワクワクすると同時にリラックスできる。巻末には、収録されたメゾンドットの連絡先などの情報が記載されているのがうれしい。割安の上に、ちょっとしたホームステイ気分が味わえ、ホテルとは一味違った滞在も一興だ。 |
ドラがみつけたプロヴァンスの家 |
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ドラ・トーザン (著) |
ギャップジャパン |
NHKフランス語講座や数々の著書で活躍中の著者。生っ粋のパリっ子ってことになってるけど、本書では親戚が代々住んでいるコートダジュールとプロヴァンスをクローズアップ。フランス人ならではの視点で、一歩踏み込んだ取材が新鮮だ。伝統的な家からイマドキな家まで、どれ1つとして同じものがない。十人十色のライフスタイルが、生活空間やインテリアにも見事に現れていて楽しい。ユニークなテキスト+写真集。 |
光あふれる南仏の海の家、山の家 |
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エディシォンドゥパリ |
地中海の海と空に囲まれた自然豊かな美しい南フランス。陽光きらめく南仏の素敵な田舎の家へようこそ。 |
プロヴァンスの庭と花
|
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エディシォンドゥパリ |
ガーデニング本というより、花や緑のあるプロヴァンス風の暮らしのヒントに |
まだまだオススメ本あります→プロヴァンスに関する本
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